呉 海軍工廠引き込み線
『この世界の片隅に』を見たのだが、元呉市民として、その作り込みように感心したシーンがあった。それは眼鏡橋から南を向くシーンだが、呉駅からの引き込み線を蒸気機関車が走るシーンである。
中学・高校時代にも「練兵場」と呼んでいた、国立病院機構呉医療センター下の広場横を線路が通っていたことは知っていたが、まさか呉が舞台となったアニメで蒸気機関車の走行シーンまで再現してあるとは思ってもみなかったのである。
高校時代にその引き込み線付近の撮影をしていた。
当時は、引き込み線はあるのが当たり前で、風前の灯火であった急行荷物列車を撮影することばかりに気を取られていた。ちょうど急荷の右側一段低い部分が、呉駅からの引き込み線である。
こちらのほうが分かりやすいか。右に伸びている線路が引き込み線である。海自呉教育隊のフェンス沿いに、奥の旧呉集会所(耐震の関係で閉鎖されている)手前まで線路が続いていたのである。今や、急荷はもちろん、この115系もすでに過去のものとなってしまった。
今もある、呉駅と呉港を結ぶ跨線橋から。単回のEF60。広に貨物を運んだその帰りを撮影した。安芸阿賀へ至る築堤と、その右下の引き込み線の関係がよく分かる。
『この世界の片隅に』でここをきちんと描いてあるということは、当たり前であるが、調査や研究を徹底した結果である。素晴らしい。
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